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TBS NEWS

2019年4月1日

今週の数字「+54%」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 財務省が28日発表した品目別の貿易統計によりますと、今年2月のEU=ヨーロッパ連合からの豚肉の輸入は、前年同月比で54%も増加しました。2月1日に日本とEUのEPA・経済連携協定が発効し、EUからの高い価格帯の豚肉の輸入関税が、4.3%から2.2%に下がったためです。中でもデンマークからは7割増、スペインからは4割増と急増しました。確かに最近スーパーマーケットでは、牛肉だけでなく豚肉の輸入品もよく見かけるようになりました。この豚肉への関税、4月には1.9%へとさらに下がります。

 また、EUからだけでなく、去年12月にTPP・環太平洋パートナーシップ協定が発効したことから、TPP域内のカナダやメキシコからも豚肉の輸入は2割ほど増えています。一方、TPPから離脱し、さらにEUからの攻勢にもさらされることになったアメリカからの豚肉輸入は、2月は14%も減少し、牛肉に続き豚肉でも日本市場におけるアメリカ産のシェアが低下しています。

 こうした事態はアメリカ側も十分予想しており、先月、アメリカのライトハイザー通商代表は、対日交渉は「緊急性が高い」として日米二国間の貿易交渉を早急に始めたいとの意向を表明しました。しかし、米中貿易交渉が当初の予想より長引いていることもあって、日米二国間交渉の具体的日程のめどはまだ立っていません。アメリカの農業関係者の間にはいら立ちだけがジリジリとつのる形になっています。4月末の安倍総理大臣の訪米では、トランプ大統領からいきなりこの問題を突きつけられるかもしれません。

 ちなみに2月のEUからの輸入では豚肉だけでなく、ワインが42%増、チーズも30%増と、いずれも大きく伸びています。自由貿易の効果は絶大です。

(BS-TBS「Bizスクエア」 3月31日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。