NEWSの深層

TBS NEWS

2019年3月25日

今週の数字「-460ドル」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 このところ順調に回復してきたアメリカの株価ですが、22日のNY株式市場は大荒れの展開となり、ダウ平均株価は460ドル安と急落しました。今年2番目の大きな下げ幅です。3月のドイツの製造業購買担当者景気指数(PMI)が47.6と、2012年以来の低い水準にまで大きく低下し、ヨーロッパの景気減速が意識されて欧州の株価が全面安となったこと、そして、アメリカで長短金利の逆転が起きたことが理由です。

 金利は長期金利(10年)の方が、短期(3か月など)より高いのが通常の世界ですが、これから景気が後退すると意識されると、足元の金利よりも長いもののほうが低くなる「長短逆転」が起きるといわれています。

 アメリカの長期金利は先週、FRBが今年の利上げを行わない方針を決めたことを受けて大きく低下し、22日は2.44%にまで低下しました。これは3か月物の市場金利より低い金利で、市場には「景気後退の入り口にあるのではないか」という不安感が広がりました。アメリカで10年物と3か月物の金利が逆転するのは、11年ぶりのことです。長期金利は先に触れたヨーロッパでも日本でも大きく低下していて、金利の世界から見れば、世界中で景気後退が意識され始めているのです。

 市場の声に耳を傾けて、今年中の利上げの見送りや保有資産縮小の9月終了まで決めるなど「ハト派」に急旋回したアメリカの中央銀行FRBの思惑とは裏腹に、そのアクションが逆に景気後退を意識させるという皮肉な結果となりました。

 ちなみに政策当局の思惑と逆の結果が、市場で出ることは、「潮目」ではこれまでもしばしば見られていることです。

(BS-TBS「Bizスクエア」 3月24日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。