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TBS NEWS

2019年3月4日

今週の数字「1.5倍」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 財務省が27日発表した品目別の貿易統計によりますと、今年1月にTPP=環太平洋貿易協定発効国からの牛肉の輸入は、前年同月比で1.5倍にまで増加しました。アメリカ抜きのTPP11は、去年の12月30日に6か国で発効しました。このうち、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、メキシコの4か国から、日本は牛肉を輸入しています。この4か国からの牛肉輸入は、発効前である去年1月は、2万1千トンでしたが、発効直後の今年1月は3万3千トンになりました。

 大半はオーストラリア産ですが、これまで輸入量が少なかったカナダ産は5倍、ニュージーランド産も3倍に増えています。1月はTPP発効直後で大手スーパーなど小売店がセールを行ったこと、さらに発効を見越して輸入を12月から1月に繰り越した業者もいたことも影響していると見られます。この結果、牛肉輸入全体に占めるTPP発効国の割合は65%に高まったことになります。関税引き下げの効果はやはり大きいですね。

 こうなってくると黙っていられないのがアメリカです。アメリカは自分の意志でTPPから抜けたわけですが、日本に輸入する際の関税は38.5%のまま、TPP参加国からの関税は、すでに27.5%に下がっています。このまま日本市場でアメリカ産牛肉のシェアが下がっていくことは受け入れ難いことなので、アメリカのライトハイザー通商代表は、27日、対日交渉は「緊急性が高い」として、3月中にも日米二国間の貿易交渉を始めたいとの意向を表明しました。米中貿易戦争休戦の後には、日本にリアルな圧力がかかりそうです。

(BS-TBS「Bizスクエア」 3月3日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。