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TBS NEWS

2017年11月6日

皇室取材余話【9】雅子さまの声

[ TBS解説室長/宮内庁担当 牧嶋博子 ]

 このところ皇太子妃雅子さまのお出ましが頻繁です。10月12日には、来日中のデンマーク皇太子ご夫妻主催の式典と晩餐会に5時間にわたって出席されました。これだけ長い時間の催しに出席されることは、最近ありませんでした。

 10月19日にはご夫妻で中学校教育70周年の記念式典にご出席。23日からは1泊2日で、高知県で行われた「全国農業担い手サミット」に。農業に携わる若い夫婦と笑顔で懇談されました。雅子さまは土佐文旦の生産者に「土佐文旦はおいしいですね」などと声をかけられました。24日には、高知から帰京後ただちに、ブータンの王妹との夕食会にご出席。26日には地球環境行動会議(GEA)国際会議開会式に。

 11月1日には東日本大震災復興状況視察のため、宮城県名取市と亘理町を訪問し、被災者と懇談したり、慰霊碑に花を供えたりと、日帰りのハードスケジュールをこなされました。

 そして翌2日の夜には、ご夫妻で世界的バイオリニスト、イツァーク・パールマンのリサイタルをご鑑賞。ご夫妻が入場すると、「あっ、雅子さま」という驚きの声があちこちであがりました。このリサイタルを皇太子さまが鑑賞されるのは4回目ですが、ご夫妻で、というのは11年ぶりのことです。

 雅子さまは「適応障害」で療養に入られたのは、2004年6月のこと。忘れてはならないのは、現在も療養中だということです。

 東宮大夫はお出ましが増えた雅子さまについて、「努力と工夫を重ねられている」と説明しています。療養に入られて13年半。この間に担当した記者の中には、雅子さまの声を聞いたことがない人もいるのです。

 私はこの1か月の間、雅子さまの声を聞く機会が何度もありました。ささやくような小さな声ですが、被災者に「ご家族は?」「おうちは?」などと質問し、「大変でしたね」と気遣う言葉には、心がこもっていました。

 雅子さまはゆっくりと、前に進まれています。雅子さまの声が、それを感じさせるのです。



牧嶋博子

牧嶋博子(TBS解説室長/宮内庁担当)

1983年にアナウンサーとして入社。87年から記者として、労働省、文部省、都庁、環境省、厚生労働省を担当。現在解説専門記者室長として宮内庁を担当。夫との共著「中学受験で子どもと遊ぼう」。