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TBS NEWS

2017年4月11日

皇室取材余話【1】両陛下、スペイン国王夫妻と静岡市へ

[ TBS解説室長/宮内庁担当 牧嶋博子 ]

 こんにちは。TBSテレビ解説室長の牧嶋博子です。おととしの10月から宮内庁を担当して、両陛下をはじめとする皇室の取材をしています。長い歴史のある皇室には、みなさんが知っているようで知らない、伝統や文化、慣習があります。また皇居内の建物、植栽にはさまざまなエピソードが隠されています。このコーナーで、日々のテレビニュースでは伝えきれない、皇室取材のこぼれ話やミニ知識を紹介していきたいと思います。

<両陛下、スペイン国王夫妻と静岡市へ>

 スペイン国王フェリペ6世とレティシア王妃が4月4日から7日までの日程で国賓として来日していました。7日には、天皇・皇后両陛下が、静岡市に国王夫妻をご案内されました。海外の王室が国賓として来日した場合、両陛下は滞在中に地方をご案内することが多いのです。去年、ベルギー国王夫妻が来日した際には、ベルギーのメッヘレン市と姉妹都市である結城市を案内されました。そして、今回は静岡市でした。

 なぜ静岡市だったのでしょうか?

 これには長い理由があるのです。去年静岡市で「第18回日本スペインシンポジウム」が開かれました。このシンポジウムは1994年に両陛下のスペインご訪問をきっかけに始まったものです。スペイン国王夫妻がこのシンポジウムに出席する方向で準備が進められていたのですが、国内の政治事情で来日できなくなりました。このため両陛下のみで訪問されることになりました。ところが、その直前に熊本地震が発生。大きな被害が出たため両陛下のご訪問もとりやめとなったのです。というわけで、静岡へのご訪問は、1年間お待たせしての実現。雨にもかかわらず市内で訪問を歓迎した市民は約1万4800人にも上りました。

 静岡駅には2台の御料車が待機。国王と陛下、王妃と皇后さまの組み合わせで別れて乗り込み、大勢の市民に手を振られながら移動。徳川家の最後の将軍・徳川慶喜が、晩年の20年を過ごした跡地に立つ料亭「浮月楼」を訪問されました。ここで400年前にスペイン国王フェリペ3世が、徳川家康に贈った時計を、ご覧になりました。座礁したスペイン船の船員の救出のお礼に、贈られたものです。陛下は「どこで作ったものですか?」などと質問し、興味深そうにのぞきこまれていました。スペインとの交流の長さを感じさせる瞬間でした。

 新幹線の車窓からは白い大きな富士山が見えるはずでした。今回は残念ながら雨で、見ることはできませんでした。国王は「必ず再び訪日して、晴れた日の富士山を見たいと思います」と述べ、この日、帰国しました。次回は富士山が見えますように!

牧嶋博子

牧嶋博子(TBS解説室長/宮内庁担当)

1983年にアナウンサーとして入社。87年から記者として、労働省、文部省、都庁、環境省、厚生労働省を担当。現在解説専門記者室長として宮内庁を担当。夫との共著「中学受験で子どもと遊ぼう」。