現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年1月21日【毎日放送】
本来の山の姿 保ちながら「自伐型林業」

今回のテーマは「陸の豊かさも守ろう」です。山、本来の姿を保ちながら継続的に木材を切り出す試みを取材しました。

福井市で林業を営む松平成史さん(46)。職場は実家が所有する100ヘクタールの山です。

「これとかは細いけど、曲がってるから伐採対象です」(松平成史さん)

松平さんが脱サラして林業を始めたのは1年前。実家の広大な山を前に考えました。

「先祖代々の山があった。でも二束三文やしなというところで、調べてみたら『自伐型林業』にぶつかった」(松平成史さん)

「自伐型林業」とは、少人数で小型の機械を使って木を間引く、間伐林業のことです。これまでのような大型の機械を使う林業ではなく、間伐することで残った木の成長を促し、木材の価値を高めて継続的に出荷できるようにします。

去年、大阪で開かれた「自伐型林業」のセミナー。ほぼ満席の70人が詰めかけました。

「ちょろちょろした間伐をずっと繰り返すほうが、長期スパンでみたら生産量が増える」(自伐型林業推進協会代表 中嶋健造さん)

講師の中嶋健造さん(57)は、自伐型林業で収益を上げるために必要なノウハウを教えています。自伐型林業に携わる人の中には、年収1000万円を超える人もいるといいます。ただ、中嶋さんは収入以外にも大きなメリットがあるといいます。それが防災です。

一般的な林業で大型の重機を通すため道幅を広くしたことが原因で起きた地すべりの瞬間です。

「土というのは引力に引っ張られて下へ落ちようとするから、(山を)削ることによって上からの土圧の力が強くなると落ちる。道は大きければ大きいほど崩れやすい」(中嶋健造さん)

中嶋さんの弟子の1人でもある松平さんも教えを守って、小型の重機がギリギリ通れる分だけ山を削ります。

Q.ぎりぎりの幅?

「わざとです。たとえば、もう50センチ広げると、山の切り取りを増やさないといけない」(松平成史さん)

自伐型林業が目指すのは、過剰な伐採をせず、山が持つ本来の姿に育てていくことです。

「ちゃんとした山にすると、災害はたぶん、半分には減る。可能性を追い続けながら山を正常な方向へ持って行ってほしい」(中嶋健造さん)

松平さんも思いは同じです。

「30年後、息子が山を見たときに、『父ちゃん、山で遊んでばっかりやったけど、いい山、残ってるやん』というのが、目標というか、目指すところだと思う」(松平成史さん)