現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年1月12日【RKB毎日放送】
空気中に微量プラスチック…実態は?

日本の空気に微量のプラスチックが漂っていることが、最近の研究で明らかになり、人体への影響を含む実態の調査が急ピッチで進められています。

福岡工業大学の永淵修教授は、年末、大分県の山奥にいました。木についた氷の結晶「樹氷」をとるためです。

「樹氷はそのときの大気環境を反映している」(永淵修教授)

研究室に持ち帰って溶かしたものをろ過すると、灰色の汚れが現れました。

「粉じんみたいなものが入っている」(永淵修教授)

永淵教授は、日本の各地でこうして樹氷をとり、大気に含まれる汚染物質を調べています。

そのきっかけとなったのが、去年、福岡市東区で自分が手がけた調査です。永淵教授によりますと、空気に1立方メートルあたり12個のプラスチックの微小な粒子=マイクロプラスチックが含まれていたということです。国内で初めての発見でした。

国連の「SDGs」で海洋資源の保全が掲げられる中、海を汚し、30年後には地球全体の魚の量をも上回るとされるプラスチックごみ。そのプラスチックが海だけでなく大気中にも漂い、私たちが日常的に吸い込んでしまっている…、こんなショッキングな実態が徐々に明らかになろうとしています。人体への影響について専門家は…。

「PM2.5の問題と同じことですね。(マイクロプラスチックが)肺に入ると、蓄積してしまうことが危惧される。影響がどれくらいあるかについては、今後考えていかないといけない」(東京農工大学 高田秀重教授)

では、空気に含まれるプラスチックはどこから来たものなのでしょうか?鍵を握るのが「樹氷」です。樹氷は大気中の水分が凍ったものです。その時の寒気の流れをたどれば、飛来ルートを推測できます。

九州の別の山では先月、樹氷から高い濃度のマイクロプラスチックが見つかりました。この樹氷を形作った寒気は、中国の北部から黄海を通って日本に入り込んだことが分かっています。

「遠隔地であっても、高い山であっても周りに発生源がなくても(マイクロプラスチックは)広がっているんじゃないか」(永淵修教授)

知らぬ間に吸い込んでいたプラスチック。仮に人体に有害であると後にはっきり分かった時、安いから、便利だからと依存している今の生活に私たちは何を思うのでしょうか?