現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年1月6日 【TBSテレビ】
南米チリ湖はなぜ消えた?

第1回は、“地図から消えた”南米チリの湖をとりあげます。

「気候変動」などが原因で、東京ドーム250個分もの面積の湖が突然姿を消し、周辺の住民は今、生活の持続可能性がおびやかされる事態に直面しています。

南米チリの「アクレオ湖」という湖が、おととし、忽然と姿を消しました。

「この場所に存在していたアクレオ湖は、人々の生活に豊かな水を供給し続けてきました。しかし、今は一滴の水も見つけることはできません」(記者)

10年前まで、東京ドームおよそ250個分の広さに、深さ6メートルの水量をたたえていたアクレオ湖は、かつて夏のリゾート地としてにぎわいを見せました。2014年の時点でこれだけあった湖の水は、5年後の2019年、枯れ果てました。今、湖の跡地に残るのは、人々が夏を楽しんだ形跡と、水を求め息絶えた動物の死骸ばかりです。

「ここは天国のような場所でした」(カロリナ・シルバ・ロボさん)

カロリナさんは10年前、湖畔に自宅を購入しました。

「渡り鳥を眺めるのが好きでした。今は姿を見せることはなくなりましたが」(カロリナ・シルバ・ロボさん)

夏は湖に舟を浮かべ、家族で過ごしました。10年前、あふれんばかりだった湖の水量に急激な変化を感じたのは、5年ほど前。

「湖は私たちの家から向こうへ徐々になくなっていき、消えていきました」(カロリナ・シルバ・ロボさん)

湖消滅の引き金を引いたのは、極端な「降水量の減少」です。2010年以降、チリが直面している干ばつは過去60年で最悪の状況で、この10年間に降った雨や雪の量は、過去の3分の2にまで激減しています。専門家は、降水量の減少は地球温暖化などによる「気候変動」のひとつだと指摘します。

そして、干ばつは地域の仕事を奪いました。農家のアルフォンソさんは8歳の頃から60年間、アクレオ湖の水でとうもろこしなどを育ててきましたが、3年前、廃業に追い込まれました。

「昔は年に何週間も何か月も雨が降りました。今は降ったとしても30分から1時間、小雨が降るくらいです」(農家 アルフォンソ・オルティスさん)

さらに、この地域では、近年進出してきた大規模農園が無計画に湖の水を乱用したと指摘する声もあります。

「ここから先は全て湖でした。あそこまで水がありました」(農家 アルフォンソ・オルティスさん)

農業を支えた馬は今、湖のあった場所に放牧されています。馬の飲み水はトラックで運んできていますが、収入を絶たれた今、馬の命をつなぐ水代も負担です。

「農地が死ねば、農家も終わりです。状況は悪化するばかりです。何も収穫することができません。もはやここで腕を組んで土地を眺めるだけです」(農家 アルフォンソ・オルティスさん)

「気候変動」は、今や「気候危機」とまで呼ばれ、持続可能な生活を奪い始めています。アクレオ湖の消滅は、遠い国の他人事でしょうか…。