JNNプロジェクト“災害列島日本”

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2018年10月18日放送

特別警報“認識の違い”で困惑

 7月の西日本豪雨では、11の府と県に大雨特別警報が出ました。大きな被害を受けた広島県の町を取材すると、特別警報と住民への避難の呼びかけをめぐって、国の思惑と自治体の認識にズレがあったことがわかりました。

 道路沿いの川からは、すでに水が溢れ出しています。7月6日の午後7時ごろに住民が撮影した映像です。

 「避難勧告が発令されました」(防災無線)

 広島県熊野町では、全域に避難勧告が出された直後でした。激しい雨が降り続き、40分後に気象庁が「大雨特別警報」を発表したことから、町は避難勧告をより緊急性の高い「避難指示」に切り替えました。

 12人が犠牲となった土石流が町の住宅団地を直撃したのは、そのわずか20分後のことでした。

 「内部では『避難指示』のことは頭の中にはよぎっておりまして、発令のタイミングをうかがっているような状況の中で、『特別警報が出た』といった情報だった」(熊野町 危機管理課・民法好浩主査)

 国のガイドラインは、熊野町のケースのように特別警報後に避難指示を出すことは、「適切ではない」としています。特別警報が出された時点で、「住民の避難は終えているべきだ」という見解だからです。

 一方、広島県は、まだ避難していない人への「最後の呼びかけ」として、「特別警報」を避難指示の判断基準に加えていました。しかし、これが熊野町には県の意図とは違った形で伝わり、「特別警報」が避難指示発令の主な判断材料となっていました。

 「今回の災害後に『特別警報が出たときには避難が終わっているべき』だったと知った。当時は特別警報で避難指示を出す運用にしていたため、後手にまわってしまったというのを後になって知りました」(民法好浩主査)

 JNNが広島県内の自治体にアンケートをしたところ、特別警報後に避難指示を出したのは14の市や町でした。このうち4つの自治体は、国が示していた特別警報と避難情報のあり方への認識はありませんでした。

 「実態として、市町がきちんと避難指示と特別警報の関係を理解していなかったという厳然たる事実がありますから、真摯に反省する必要があると思います」(広島県・湯崎英彦知事)

 一方で、豪雨の際に避難情報を出す自治体は、雨雲の動きや雨量だけでなく、川の水位など膨大な情報を処理しなければいけません。

 西日本豪雨で被災した地域の自治体からは・・・。

 「公務員の職員だけですべての判断をするというのが、正直なかなか難しいという現状はあります」(民法好浩主査)

 気象庁など専門の機関からのアドバイスを求める、切実な声も上がっています。