JNNプロジェクト“災害列島日本”

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2018年10月12日放送

「浸水しない」住宅地 高潮被害で憤り

 「安全・安心」をうたって行政が開発した兵庫県の住宅地が、先月の台風21号で浸水の被害にあいました。「高潮による浸水はない」とのふれこみが決め手で購入した住民たちは憤りを抱いています。

 防潮堤を軽々と越え、住宅街に迫る高潮。先月4日に関西を縦断した台風21号の影響で、兵庫県芦屋市の南芦屋浜では、床上17件、床下230件という大きな被害が出ました。台風による強い高潮は、防護柵を破るだけでなく、神戸港から流出した複数のコンテナを運んできました。

 南芦屋浜は、兵庫県が地域整備事業として開発しているニュータウンです。孝岡さん夫婦は海に近いこの街の雰囲気が気に入って引っ越してきました。

 「窓を見たときはすでに(深さ)50センチぐらい。川のような状態で。何が起こってるのか、わからなかったですね」(孝岡知子さん)

 孝岡さんの住宅は床下浸水し、マイカーも廃車処分になりました。ただ、孝岡さんは納得がいきません。その理由は住宅を購入する際に受けた説明にありました。

 「水害に対しては非常に頑張っていて、液状化もしにくいし、津波に関しても、南海トラフ(地震)が来ても基本的には大丈夫な海抜で作ってあるような説明でしたね」(孝岡秀俊さん)

 販売当時の住宅メーカーのパンフレットには「浸水しない」ことが強調されていました。ただ、住宅メーカーも今は困惑しています。県から土地を購入する際、「高潮や津波の被害はない」と説明を受けていたというのです。

 「護岸設計がしっかりできてるというのが一番の安心。非常に残念な事態になってしまったなというのが率直な感想でございまして。こういった事になるとは、私たちも予測していなかったというのが事実です」(住宅メーカー)

 確かに、この場所を開発した県の当時のプランには「安全」「安心」の文字が並び、ハザードマップでも高潮の被害は想定されていませんでした。今回の事態について県の担当者は…

 「当時作っていた考え方というのは、ある一つのモデルにすぎませんので、そのモデルというのが必ずしも実際の気象現象をそのまま再現できるものではございません」(兵庫県港湾課 黒坂公晶副課長)

 本当に被害は予測できなかったのか。孝岡さんは改めて県に詳しい説明を求めていきたいと話します。

 「命の危険のある場所に人は集まってきませんし、もう想定外では済まされない。想定外を想定して対策しますというのが、本来の行政の姿じゃないかなと思うので」(孝岡知子さん)

 現在も新しい住宅の建設が進められている南芦屋浜。兵庫県は今後、ハザードマップを見直し、避難所などの拡充を図るとしています。