JNNプロジェクト“災害列島日本”

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2018年10月10日放送

巨大地震の謎解明へ、探査船「ちきゅう」出航

 海の底を掘削して地中の奥深くを調べることができる探査船「ちきゅう」が、静岡県の港を出航しました。狙いは南海トラフ巨大地震の発生の謎の解明です。

 探査船「ちきゅう」は、静岡県・清水港を拠点にしています。長さ210メートル、高さ130メートルの日本最大の科学船で、海上の巨大研究所とも呼ばれています。

 「掘削の作業を行う“ドリルフロア”。このフロアから70メートル」(海洋研究開発機構・江口暢久科学支援部長)

 やぐらから海底にめがけて伸ばしていくパイプは、深さ7500メートルにまで到達します。くり抜いた土や石は、パイプに収めて地上に持ち帰ることができます。

 ドリルフロアの操縦室には、掘削のスペシャリストがいます。

 「穴の中の状況って目で見えないんですけど、出てくるその数字、グラフ、それを見てて、何が起きているかをかなり的確にリアルタイムに判断している。それは横でみていても、なかなかすごい世界」(江口暢久科学支援部長)

 「ちきゅう」は今回、紀伊半島沖で、半年かけて海底を掘削します。目的は、海面からおよそ7000メートル下にある固着域のサンプルを持ち帰ることです。固着域とは、陸側のプレートとその下に沈み込む海側のプレートが硬く結びついた部分のことで、巨大地震の震源になると考えられています。固着域のサンプルが手に入れば、南海トラフ巨大地震のメカニズムが解明できるかもしれないと期待がかかっています。

 「少なくとも固着域といわれる実際に地震を起こしている部分が、どういうものからできているのか、そこを掘って初めて分かる」(江口暢久科学支援部長)

 海底から掘りぬかれた地層のサンプルは、「コア」と呼ばれます。地球の記憶が詰まった大切な研究資料で、船内で緻密に分析されます。

 「肉眼で見るとどれも同じような泥に見えるんですけど、これ(X線CTスキャナー)で見ると中の密度の違いが出てくる。それを壊さずにできることが素晴らしい。これを持っている研究船は他にない」(江口暢久科学支援部長)

 「ちきゅう」は2007年以来、南海トラフで調査を続けてきました。過去5回の大地震の痕跡を発見し、発生した年代や場所の特定に貢献してきました。

 「きちんとした科学成果を持ち帰って、その結果が南海トラフ地震だけでなく、世界中の同じような地震発生帯の研究を、これからさらに大きく進めることができるような成果があがることを期待している」(江口暢久科学支援部長)

 巨大地震発生の謎を解き明かす。大きな期待がかかる調査に向け、「ちきゅう」は出航しました。