JNNプロジェクト“災害列島日本”

シェア
2018年4月12日放送

熊本地震で新発見「おつきあい断層」とは

 震度7を2度観測し、267人が亡くなった一連の熊本地震が発生してから間もなく2年を迎えます。2度目の震度7の地震では、メインの活断層以外に200以上もの未知の断層がずれ動いていたことが人工衛星を使った最新の技術によって新たにわかりました。

 熊本県益城町の畑には、熊本地震の本震=マグニチュード7.3の大地震の痕跡がくっきりと残っています。大地を右方向に2.5メートル動かした断層の跡です。ただし、地震の際にずれ動いたのは、このように目に見える大きな断層ばかりではありませんでした。熊本地震の本震は、「布田川断層帯」と呼ばれる全国でも有数の活断層がずれ動いて発生したことがわかっています。ところが・・・。

 「断層がたくさん、山ほど走っている」(国土地理院 地理地殻活動研究センター・藤原智総括研究官)

 国土地理院による人工衛星を使った観測で、メインの活断層とは別に、地下では細かい線状の断層が広い範囲でいくつも動いていたことがわかりました。その数は、およそ230にのぼるといいます。

 「これだけ多くの断層がいっぺんに現れた。阿蘇カルデラだけでなく、熊本市内とかいろいろな場所に多く現れた。こんな例は初めてです」(藤原智総括研究官)

 今回新たに見つかったこれらの断層、数の多さもさることながら、さらに驚かされるのは、付けられた名前です。

 「『おつきあい断層』と呼んでいます。自分で動いたのではなくて、メインの断層におつきあいした断層」(藤原智総括研究官)

 おつきあい断層と一連の熊本地震の震源とを重ね合わせると、おつきあい断層のある場所で必ずしも地震が発生しておらず、むしろ少ない傾向さえ見てとれます。

 「ここですね、全く地震が起こってない」(藤原智総括研究官)

 自分で地震を起こす力はないにもかかわらず、活断層が地震を起こした場合は一緒になってずれ動く、おつきあい断層は、そんな“受け身”の断層なのです。この亀裂は、おつきあい断層の影響を受けて生じたとみられますが、おつきあい断層が地上に直接、達するほど大きくずれ動いたり、強い揺れをもたらしたりした例は今のところ確認されていません。

 「今回の熊本地震だけを見れば、(おつきあい断層の)ずれの真上でなければ、大した被害はなかったと思う。ただし未来永劫そうなのかは、調べないと分からない」(藤原智総括研究官)

 おつきあい断層は、一生おつきあいするだけで、自ら地震を起こすことは絶対にないと言い切れるのか。研究はまだ始まったばかりで、熊本地震で得られたこの新しい知見は、従来の活断層の定義や評価の方法にも一石を投じることになりそうです。