JNNプロジェクト“災害列島日本”

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2018年3月30日放送

巨大津波にハード整備進むも残る課題

 南海トラフ巨大地震で全国で最も大きい津波が想定されている高知県。いわゆるハード面の整備はかなりのスピード感で進められてきましたが、いまだ残る課題もあります。

 30年以内に70~80%の確率で発生するとされている南海トラフ巨大地震。最悪の場合、32万3000人が死亡すると想定されています。

 こうした中、高知県では2つの市と町で全国最大の34メートルの津波が想定されていて、急ピッチで津波避難タワーの整備が進められてきました。そのうちの一つが県西部・黒潮町にそびえ立っています。

 「黒潮町佐賀に建てられた津波避難タワーです。避難フロアまでの高さは20メートルを超えています」(記者)

 タワーはビルの7階とほぼ同じ高さ。この地区では18メートルの津波が想定されていて、避難フロアまでは22メートルあります。タワーの建設を強く要望してきたのが、自主防災組織の前の会長、吉本幸さんです。

 「このタワーができる前は、どこに逃げなければならなかったのですか?」(記者)

 「あそこです。あの山のところ」(浜町地区自主防災会 吉本幸前会長)

 「距離ありますよね?」(記者)

 「あります」(浜町地区自主防災会 吉本幸前会長)

Q.避難路に逃げるとしたら

 「遅い人は20分以上かかる。高齢者は助からん・・・」(浜町地区自主防災会 吉本幸前会長)

 子どもやお年寄りが立っていられなくなる30センチの津波は、19分でやってきます。こうした状況に、住民たちの中には当初、「あきらめ」もありました。

 「『私らは助からんでいい』と。『元気な人の足をひっぱる』と・・・」(浜町地区自主防災会 吉本幸前会長)

 しかし、タワーの完成は町に「希望」をもたらしました。

 「自分の命だけは助かると、『どうでもいい』ということはなく、希望を持てるようになった」(浜町地区自主防災会 吉本幸前会長)

 東日本大震災より前のタワーの数は6基。今では102基にまで増え、いわゆるハード面の整備は一定、終わりが見えています。しかし、去年、高知県が行った県民へのアンケート結果を見ると、家具を固定していない人の割合や、地震後、すぐ避難しないと考えている人の割合が高いのが現状です。

 避難する施設は、ほぼできあがった高知県。いま、一人ひとりの意識の向上が求められています。