JNNプロジェクト“災害列島日本”

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2018年1月29日放送

南海トラフ地震「臨時情報」、“困惑”も

 南海トラフ巨大地震の「臨時情報」をご存じでしょうか?去年11月に導入され、地震発生の可能性が高まったと判断された場合などに気象庁から出される情報ですが、具体的にどのように行動すればいいのかは示されていません。頭を抱える現場を取材しました。

 「(Q.高さは?)2階で8メートル、3階は11メートル」(御坊市防災対策課 東信行課長補佐)

 南海トラフ地震で最大16メートルの津波が想定されている和歌山県御坊市。周辺の住民を収容する津波避難タワーを建設し、地震の発生に備えています。

 「(Q.臨時情報は?)急な話だったので、びっくりしている」(御坊市防災対策課 東信行課長補佐)

 防災の担当者を驚かせているのは、去年11月、政府が南海トラフ地震について情報の出し方を大きく変えたからです。

 地震予知できないことを前提に、地震が起きる可能性が高まったことだけを伝える「臨時情報」を出すことにしたのです。具体的には、南海トラフ地震の想定震源域でマグニチュード7クラスの地震が発生した場合や東海地方の地盤で異常現象を観測した場合などに「臨時情報」が出されます。列車の運行を強制的に止めるなどの従来の体制とは異なり、避難を含めどう行動するかは、すべて個人や企業などの判断に委ねられています。

 およそ40年間にわたり、予知を前提に防災対策を進めてきた静岡県も頭を抱えています。

 「地方自治体が社会生活を止めにかかるのではなくて、これぐらいならばやっておいた方がよいのではという社会的合意。そこを探っていかなければならない、そこが難しいかなと思っている」(静岡県危機管理部 滝田和明理事)

 また、経済の担い手である企業の間にも動揺は広がっています。

 「今、出されるであろう情報、中身があいまいですし、いつという情報もあいまいですので、これが出たからといって動くのはちょっと難しいのでは」(中部経済連合会 産業振興部 佐々木彰一担当部長)

 そして、最大の問題点は、地震が起きない可能性があることです。そのため、JR西日本と東海などは、新幹線や在来線の運行を可能な限り継続することにしました。

 「予知できないのだから地震は不意打ちで起こると考えなければならない。その時にそれ(臨時情報)を役立ててほしい。つまり、空振りは覚悟で出す」(関西大学〔中央防災会議・元座長〕 河田惠昭教授)

 具体的な指針を示すことなく、見切り発車の形で始まった臨時情報ですが、政府はできる限り早い段階で「行動規範」となるガイドラインを策定する方針です。