JNNプロジェクト“災害列島日本”

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2017年8月30日放送

台風10号水害あす1年 高齢者の避難~悲劇を繰り返さない(岩手)

 去年の台風10号の大きな教訓の1つが、施設の入所者を初めとする高齢者の避難です。JNNプロジェクト「災害列島日本」。岩泉町での取り組みを取材しました。

(Q.今はもう当時の姿はない?)
 「もうほとんどないですよね」(八重樫信之さん)

 岩手県岩泉町出身で埼玉県在住の八重樫信之さん。八重樫さんは台風10号で岩泉町内のグループホーム「楽ん楽ん」に入所していた母・チヤさん(95)を失いました。遺族の苦しみは今も続いています。

 去年8月の台風10号で岩泉町では小本川が氾濫し、合わせて20人が死亡しました。川沿いにあったグループホーム「楽ん楽ん」には濁流が流れ込み、入所者9人全員が亡くなりました。

 当時、町には「避難準備情報」が出されていましたが、「高齢者などは避難を始める」という意味は施設に伝わっていませんでした。

 これを教訓に国は去年12月、「避難準備情報」の名称を「避難準備・高齢者等避難開始」に改めました。岩泉町内の高齢者福祉施設では、災害対応の見直しが進んでいます。

 こちら「グループホームいわいずみ」では去年11月、防災マニュアルに新たに水害対応を盛り込みました。また、迅速な避難に向けて、定期的な避難訓練も行っています。

 一方で、施設には不安もあると言います。

 10人いる利用者を夜間など、1人の職員で避難させることは困難です。実際には、ほかの職員が駆けつけることになりますが、災害の状況によってはそれも難しいかもしれません。

 経費や人手不足などの面から、体制が限られる高齢者福祉施設の現実。マニュアルや避難訓練を生かしながら、命を守るための模索が続いています。