【現場から、】西日本豪雨災害

【現場から、】2018年8月1日(水)

迫る濁流、災害弱者を救え

愛媛県西予市野村町では先月7日、ダムが放流された後、肱川が氾濫し、濁流はグループホームを飲み込みました。現在は再開に向けた復旧作業が続けられていて、中へ入っていくと、壁や床板がはがされています。当時、ここには18人の高齢者がいましたが、全員が避難して無事でした。あの朝、何が起きたのか、検証しました。

先月7日の午前7時4分に撮影された写真です。建物の1階部分が水に浸っています。そして・・・。
「(Q.この時計、ここにあったんですか?)こういう感じです」(男性)
「(Q.水がここまで来て止まった時間?)そうですね」(男性)

グループホームは、肱川からおよそ60メートルの場所に建っています。あの日、施設にいたのは、職員2人と認知症の高齢者18人。その大半が、車いすや寝たきりでの生活でした。濁流は、2階の床上40センチまで達しました。

「今回はダムの放流で、1回にガッときた」(グループホーム事務局長の和氣利雄さん)

夜勤担当だったスタッフは・・・。
「(ここにいて放送は聞こえなかった?)聞こえなかった。雨の音(のせい)だと思うが。当日は事務長から連絡があったので、慌ててみんなをホールに出して」(白石恵美子さん)

自宅の防災無線で避難の呼びかけを聞いた事務局長の和氣さんが、ホームに連絡を入れたのが午前5時10分すぎ。スタッフに、部屋で寝ている入所者を起こして全員を1階に集めるよう指示します。

「2階からは『エレベーターで下ろしますよ』と声を掛けて、やっぱり訓練の成果が出たのかなと思って」(竹田三枝子さん)

18人の命を救ったのは、早朝の迅速な指示と夜勤態勢を想定した避難訓練でした。 「大体毎月1回は訓練があるので、日ごろから(各階)夜勤1人の対応訓練」(白石恵美子さん)

午前5時40分。1階に集まった入所者は順番に車で別の施設に運ばれます。その30分後、6時10分には全員の避難が完了しました。

「避難した18人を確認して、施設長らと抱き合って喜んだ」(白石恵美子さん)

ダムの緊急放流は、その10分後に行われました。
「その時(放流)がその時間(避難)に重なっていたら、水がどんどん来る中で避難させなければならないとなると、どこで避難をやめて2階に上げるかに切り替わってくる」(和氣利雄さん)

残してきた車が気になり、再びホームに戻った午前7時すぎ・・・。
「(この道は通れなかった?)もちろん通れなかった。そこまで水が上がってきたんだと、初めて実感した」(和氣利雄さん)

もしもあの時、避難を呼びかけていなかったら・・・。災害弱者の命を守るために、周囲の高い防災意識が求められています。

最も人手の少ない時間帯に、どれだけ早く入所者を避難させられるか。そうした普段からの意識付けが、職員の冷静な行動につながり、多くの命を救ったといえます。一方、今回の水害では、西予市野村町で亡くなった5人のうち4人が70代以上の高齢者でした。体が不自由だったり、避難の情報がうまく伝わらなかったりして、逃げ遅れた可能性が指摘されています。これから高齢化が益々加速する中、災害弱者の命をどう守っていくのか、大きな課題が突きつけられています。(8月1日11:43)

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