【現場から、】西日本豪雨災害

【現場から、】2018年7月26日(木)

川沿い道路の見えない危険

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広島市安芸区の畑賀川の橋には瓦礫が取り残され、道路は崩落し、通行止めとなっていて今も豪雨の爪痕を残したままです。この川は600メートルほど下流で、少し大きな瀬野川と合流する支流です。今も大量の土砂が堆積していますが、道路が崩落し、補修した跡があります。

6日の夕方、あの場所を通りがかった家族4人の乗った車が増水した川に転落しました。その瞬間を撮影した映像があります。豪雨で増水した畑賀川沿いの道路を車が行き交っています。画面右上に向かった車のブレーキランプが点灯した次の瞬間、大きく傾いた車が川に転落しました。

「道路の下が陥没して空洞になって、車がふわっとした感じで落ちた」(付近の住民)

翌日、転落した車はわずかに屋根が確認できました。車には母親と子ども3人が乗っていて、2人は救助されましたが、11歳と6歳の姉妹が行方不明になっています。普段の畑賀川は、護岸に草が生い茂り、流れも穏やかです。

「薄暗かったから、いちいち道路の状態は見ていない」(崩れる30分前に現場を通行)

豪雨による濁流はその護岸をえぐり取り、突然、崩れ落ちた道路から車が転落してしまったのです。

川沿いにある道路の崩落は、広島の幹線道路でも発生しました。

広島県の東西を結ぶ国道2号も同じ広島市安芸区の瀬野川沿いで崩落し、物流や復旧作業に大きな影響が出ました。相次いだ川の近くを走る道路の被害。その場所には共通点があります。上流から下流に向かって、緩やかにカーブしてる所が崩落していたのです。

「少し曲がっているので、カーブの外側で水深が深く流速が速い。その分、前後と比べてかかる力が強かったことが考えられる」(広島工業大学・田中健路准教授)

現地を調査した広島工業大学の田中准教授は、道路の崩落の原因について、「川の護岸が流れてきた礫(岩石)で破壊され、大量の水が地盤を削りとった」と指摘し、「この現象は日本中どこの川でも起こりうる」と警鐘を鳴らします。

「大雨となってくると急に水量が増えたり、水と一緒に大きな石が流れてきたり、普段から全く違う状況になる。水辺から離れるのが大原則」(田中健路准教授)

突然、濁流に飲み込まれた車。映像は、増水した川の危険を記録していました。転落した車に乗っていた2人の女の子の捜索は、下流の瀬野川から河口の海にかけて、連日続いていますが、いまも見つかっていません。

映像では多くの車が川沿いの道を走っていたのがわかります。川から水があふれていたわけではなく、その道路の下が濁流にえぐられていて、危険な状態になっているとは、当時、道路を走っていた車からはわからず、まさに見えない危険となっていました。

今回の豪雨で広島では、この畑賀川のような比較的小さな川、すなわち中小の河川で氾濫や堤防の決壊が相次ぎ、大きな被害が出ました。大きな川は対策が進む中、中小河川は費用対効果の面から後回しにされやすい現状があります。取材した広島工業大学の田中准教授は、「増水した川のそばを通って移動するのは危険。避難するときは水の通る谷筋を避ける意識が必要」だと話していました。(7月26日11:43)

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