【現場から、】西日本豪雨災害

【現場から、】2018年7月24日(火)

行政の情報伝達のあり方は

豪雨災害を多角的に検証するシリーズ「現場から、」。愛媛・西予市野村町からの報告です。

豪雨災害から2週間以上が経ちましたが、今も災害ごみが積まれています。今月7日、肱川が氾濫し、この地区では5人が亡くなりました。その被害を拡大させた要因として、今、問題視されていることがあります。

肱川沿いにある住宅は、中に入ってみると、壁がはがれているなど被害の爪痕が生々しく残されています。そして、こちらにある防災行政無線ですが、今、住民に対する情報伝達のあり方が問われています。当時、住民にはどのように情報が伝わっていたのか、取材しました。

西日本豪雨で死者5人を出した西予市では、防災行政無線を聞くことができる受信機を6割から7割の家庭に貸し付けています。豪雨災害の発生時、この受信機はどの程度役立ったのでしょうか。

被害の大きかった地区で食料品店を営む酒井島子さん(75)です。水が押し寄せてきた7日の朝、店の中に設置した受信機からは音が聞こえず、近くの公民館にあるスピーカーからの避難指示を聞いたということです。

「水がそのうちバーッと来たんですよ。あらま思って、ここ入りだしたけん。それにびっくりして、とるものもとりあえず避難所に行ったんです。消防の人に抱えてもらわないと、歩けないほど急流になっていた」(酒井島子さん)

一方、この男性は、7日の午前5時頃から6時頃までダムの様子を見るため外に出ていましたが、屋外に設置されたスピーカーから防災無線の音は聞こえなかったと言います。

「何も鳴らなかった。何も聞こえなかった。(防災無線が)鳴ったとしても、聞こえなかった。相当な雨の音で。かき消されて」(男性)

西予市は、肱川が氾濫するおそれのある水位に達したため、直ちに避難を始めるよう、7日の午前5時10分から午前6時1分まで、3回にわたって防災無線で呼びかけたとしています。しかし、JNNの取材ではこれらの無線が聞こえなかったという住民が多数いました。西予市は無線が聞こえなかった理由について、今後、検証するとしています。

同じ野村町に住む若松宮子さん(75)は、耳の聞こえが悪く、普段、補聴器をつけています。

「(Q.防災無線は聞こえた?)夜は補聴器を外して寝るから、分からない」(若松宮子さん)

一方、西予市の南隣の宇和島市では、吉田町で11人の死者が出ています。宇和島市では、屋外のスピーカーや各世帯に配布した防災ラジオのほか、携帯メール、スマートフォンのアプリ、フェイスブック、ツイッターなど、様々な情報伝達のツールを整備しています。

「家の中にいる場合、外にいる場合、車を運転している場合、さまざまな状況がある。屋外のスピーカーがいつも聞こえる所にいるとは限らない。メール、スマホ、聴覚障がい者の方にはファクスを送ったり。情報の伝達を多様化・多重化することで、確実に市民に情報を届けることが一番の課題」(宇和島市危機管理課・山下真嗣課長)

宇和島市では多様な情報伝達ツールを用いても、11人が犠牲になったことを重く受け止めていて、今後、避難の啓発活動を進めるとしています。行政はあらゆる手段で、住民に情報を提供することが、今、求められています。(7月24日11:38)

Copyright© Tokyo Broadcasting System Television, Inc./ Japan News Network