今週の一筆
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09月14日の放送

「米中新冷戦」日本の外交は?

自民党 阿達雅志 参議院議員

対談を終えて

 今回のゲストは、自民党外交部会長の阿達雅志参院議員。80年代後半から90年代にかけて民間企業でアメリカ、その後、北京に赴任していたということで、ますますエスカレートする米中貿易戦争について聞いた。

 「トランプ大統領は貿易赤字削減を非常に注視。8000億ドルほどの貿易赤字の半分近くが中国ですから。でもこれには、赤字問題だけではなくもう少し大きな背景があるんです。今や中国は軍事力・経済力を持ち、国際的にも存在感がある。だから中国に対する脅威論が、民主党の中からでさえ去年後半から急に高まってきた。去年暮れの『国家安全保障戦略』では、『これまで20年間の対中政策は失敗だった。最大の敵は今や中国だ』とはっきり述べています。一方、中国も去年、『人類運命共同体構想』で『国際社会ではこれ以上の西側文化の継続は無理だ』と言い出しました。私はこれを『米中新冷戦』と言ってますが、昔の自由主義対共産主義ではなく、今や、西側文化と非西側文化の対立になってしまいました」

 具体的に米中はどんな戦いを? 「まず、先ほど話した『貿易戦争』。赤字が膨らみ、安い製品で国内の企業がつぶれ、雇用が減る脅威。それから『技術覇権戦争』。今、中国がアメリカの企業を買収しまくっている。その技術が中国に持って行かれる。また、たとえばファーウェイとかZTEなどの中国のIT企業がアメリカに進出、これが携帯電話の部品などに使われる。今や中国の技術はヨーロッパと同じかそれ以上、しかも値段が半額ですからあっという間に広まる。ここにスパイウェアが仕込んであれば、知らないうちに情報が盗まれる可能性がある。安全保障上重大な問題です。だから、アメリカはこの分野で中国を排除しました。逆に今、中国の深センにアメリカ企業が進出して、新技術の開発をしようとしている。中国では、規制は全部中央政府が握っているから緩和は簡単。先進国だと、空飛ぶタクシーやドローンの実験をしようと思っても、まず『落ちたらどうする?』と考えなければならない。中国は先進国よりずっと早く開発ができる。スピードが勝負の時代、これは強みです。どちらが技術面での覇権を取るか、熾烈な競争をしているんです。3番目に『戦略的競争』。『偉大な中国民族の復興』というスローガンの下、AIIB(アジアインフラ投資銀行)、一帯一路構想を提示。基軸通貨をなんとか“ドル”から“元”にできないかとも。台湾・南シナ海は中国の『革新的利益』だから着々と事実を積み上げている。アフリカ・中南米にも援助外交。これに対してアメリカは、安倍さんの構想『自由で開かれたインド太平洋戦略』に賛成した」

 2つの大国の競争の間で、日本の外交は大変では? 「これまで安倍総理は、アメリカからの圧力を非常に上手くしのいできたと思う。外交安保と経済の話を切り離そうとやってきて、成功してきた。しかし、それがだんだん持たなくなってきた。トランプ大統領は貿易赤字を減らすのに非常に熱心。アメリカにとってTPPは自動車・農業の部分で100点満点でなかったから抜けた。トランプ大統領曰く『複数の国でやるとアメリカの利益にはならない。1対1で』。でも、今やグローバルサプライチェーン。タイやシンガポールで部品を調達、それをどこかの国で最終的に組み立てる。一方、アメリカはもはや製造業は3割、残り7割がノウハウ・知財・金融といったサービス部門。ところが、トランプさんの頭には“モノの貿易赤字”しかない。主張がずれている。が、これを指摘する人が周りに誰もいない。これにどう対応するか。よほど緻密に議論しておかないと日本の主張を理解してもらえない」

 最後に、日朝関係を聞いた。石破さんが北朝鮮に連絡事務所を置くべきと言っているが? 「日本は、核・ミサイル・拉致の一体解決を日米で協力して取り組んできた。しかも核・ミサイルは日本独自では進められない。日本が連絡事務所を作って、何をやるのか。話をすれば信頼関係ができて何かが生まれるというわけには、なかなかいかないのではないかと思う」

 剣道4段の阿達さん、趣味は? と聞いたら「登山。日本百名山のうち、63、登りましたけど、国会議員になって行けなくなりました。でもいつかまたチャレンジします!」

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川戸 惠子 (かわど けいこ)

兵庫県姫路市生まれ。
東京都立日比谷高校卒業、お茶の水女子大学国語国文科卒業。


 アナウンサーとして東京放送(TBS)入社「お昼のニュース・スタジオ」(ラジオ)「ニュース・デスク」(テレビ)のニュースキャスター等を 務める。
 報道局政経部記者に異動後、自治・建設・国土・郵政省等を担当するかたわら、選挙本部で選挙番組を担当。
 その後、報道局政治部部長や解説委員等を経て、現在はTBSテレビ・シニアコメンテーターとして「国会トーク・フロントライン」(CS放送「TBS NEWS」)のプロデューサー兼司会、選挙番組を担当。

この番組はCS放送「NEWS BIRD」で放送しています。
再放送:9月14日(金)23:00/9月15日(土)9:30/9月16日(日)0:30