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福島第一原発「燃料デブリ」確認か、廃炉と復興への道のりは・・・

●3号機で「燃料デブリ」と見られる塊を確認
●調査に使われた水中ロボット“ミニマンボウ”
●廃炉と復興への道のりは・・・キーパーソンは語る

■福島第一原発3号機で「燃料デブリ」を確認か

 東京電力は7月21日、福島第一原発の3号機で溶け落ちて固まった核燃料、「燃料デブリ」と思われる岩のような物質が確認されたと発表した。(写真提供:国際廃炉研究開発機構=IRID)これは水中に投入されたロボットが原子炉格納容器の中心にある圧力容器の直下にあるペデスタルよりも下の部分を撮影した映像だ。東京電力はこれまで、1号機と2号機でも、ロボットによる格納容器内部の調査を行い、様子を撮影したが、どの調査でも「燃料デブリ」は確認できなかった。

 メルトダウンを起こした1号機、2号機、3号機は常に格納容器に水を入れ続けることで、放射線量を抑えている。しかし、1号機と2号機については事故による損傷で水漏れがあり、未だに止まらない状態だ。その点、3号機については6メートル余りの水位があり、比較的、ロボットによる調査がしやすい環境にあると考えられていた。

 この塊が「燃料デブリ」だとすれば、2011年3月の事故で炉心溶融=メルトダウンを起こしてから、実に6年以上が経過して初めて、その姿を撮影したことになる。

■調査に使われた水中ロボット“ミニマンボウ”

 今回の調査では“ミニマンボウ”と呼ばれる水中撮影ロボットが3号機底部の水中に投入された。このロボットはIRIDとプラントメーカーとして3号機を担当している東芝が共同で開発したものだ。ロボットの直径は約13センチメートル、長さは約30センチメートルと小さいが、前方と後方にカメラとLEDライトを搭載している。

 原子炉格納容器の直径14センチメートル程度の作業用の配管から中に入れ、遠隔操作で水中を泳ぎ回り、「燃料デブリ」と思われる塊を撮影することに成功した。3号機では使用済み核燃料プールから燃料取り出しに向けて、建屋の上を覆う半円型の屋根カバーの設置作業を進めている。

 今回の調査で3号機で確認された塊が「燃料デブリ」だとしたら、30年から40年かかると言われる廃炉への道のりは見えてくるのだろうか。

■廃炉と復興への道のりは・・・キーパーソンは語る

東京電力とともに廃炉を進める中で重要な役割を果たしている2つの機関がある。それは国際廃炉研究開発機構=IRIDと原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)だ。このIRIDとNDFのキーパーソンがTBSニュースバードの「ニュースの視点」(今年2月放送)でインタビューに答えている。

 極めて高い放射線量のために人間がアクセスできない格納容器内部の調査にはロボットの開発がカギを握る。その司令塔となっているIRIDで技術開発を担当している吉澤厚文・専務理事は、これから必要になるロボットなどの技術について、次のように話している。

 「廃炉という技術を安定的に進めていくうえでは、燃料デブリを安定的に取り除いていくことが必要。高い放射線量の中での作業になるうえ、時間もかかるので、かなりの時間、設備が安全に維持できなければいけない。設備が安全であるかどうか、監視をしたりモニタリングをしたりということが必要になる。そういう監視をするための設備も必要になる。高い放射線量の中で安定的に長時間使えるものが必要になるので、そういう特殊な技術を開発する必要が出てくるだろう。我々のロボットも放射線に対する体力を高めているが、何十年もそこにおいて監視のできる性能になっていない。そういう(耐久性のある)センサーが必要になる。また、燃料デブリをある程度の規模で取りだそうとすると原子炉全体の安全をどうやって確保するかというアプローチをしなければならない。そのためには、様々な英知を集めなければならない」

 これまでの調査で「燃料デブリ」と思われる塊が確認されたのは3号機だけだ。2号機の調査では、圧力容器の下のペデスタルに付いた黒い物質が確認できたが、燃料デブリとは断定されていない。

 「燃料デブリ」の取り出しは“人類が経験したことのない困難な作業”と関係者は表現する。こうしたことから、取り出しは先送りにして、ロシアのチェルノブイリ原発と同様、原子炉建屋の周りをコンクリートで囲んで封じ込める“石棺方式”を選択すべきだという声も出ている。

 これに対して、廃炉全体の戦略プランを策定するNDFの山名元・理事長はこう述べる。

 「(石棺方式については今もやるべきではないと考えてるか?) 結論を言うと全く変わらない。今回の2号機の結果を見て難しいなと感じる人もいる。ただ私は逆にあれを見て、これはできるなと思っている。もともと予想した状態がああやって見えているので、より自信を深めたと言って良いと思う。もちろん、デブリが落ちている状態というのは最初から分かっていることで、そのために装置を開発するし、アクセス方法の検討をやってきている。でも、ああいう状態が分かれば、装置や取り出し方法の設計はできる。あとはどれくらい時間がかかるとか、どれくらい安全に注意してやるかとか、そういう細部に入っていく話であって、ああいうものを見て取れないという話では全くない。逆に相手が見えてきたので、これはいけるという感覚だ。燃料デブリを取り出さないで“石棺”ということを主張する方もどうやらいるようだが、あれは使用済み燃料そのものだ。それが裸の状態になって建屋の中に制御されない状態で分散されている。これが10年、20年、30年、50年経っていったときにどうなるか誰も予想がつかない。例えば化学反応が進んで、もっと扱えない状態になっていく可能性もある。大きな地震が来て建屋が大きな損傷で、それが出ていく可能性もある。それから建屋自身が劣化していく、コンクリートには年限があるから建屋が劣化していく可能性がある。そういうことを考えると、あの状態を長期に保証することは誰もできない。だから、早く乱雑な状態を解消してコントロールされた状態に持ち込むというのは、どっかの時点で必ず必要になる。チェルノブイリでも新しいシェルターをかぶせたが、100年以内にデブリを回収するという計画を考え始めている。ということは石棺と称するものをやっても何の解決にもならない。であれば、今、原子炉の状態を調べて取り組んでいる我々の技術的知見を投入し、なるべく早く安定な状態に持ち込んでいった方が得だ。早く安定状態を達成する。そうすれば次世代に対して残すということもないし、安定状態を確保できる。私は十分、デブリを取り出せると思っているし、それを予定通り、今はやるべきだと思っている」

 福島第一原発の事故から7回目の夏を迎えた。廃炉と復興への道のりは長い。

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