ロシアスパイ醜聞、トランプ大統領側近を篭絡したSVRとは

 ロシアスパイ醜聞、トランプ大統領側近を篭絡したSVRとは(竹内明)

●トランプ選対陣営の外交顧問が、ロシアのスパイと会っていた。

●ロシアスパイの巣はマンハッタンにある。

●FBI長官は「トランプ陣営とロシアの接点を捜査している」と明言。

 ロシアによる大統領選介入疑惑でトランプ政権の逆風が吹き荒れている。FBIの捜査が進む中、トランプ大統領側近とロシアの濃厚な関わりがまた明らかになったのだ。これまで選挙参謀のマナフォート氏、フリン前大統領補佐官、セッションズ司法長官らの名前が挙がってきたが、今度は大統領選でトランプ氏の外交政策顧問を務めていたカーター・ペイジ氏が、ロシアのスパイ機関SVR(対外諜報庁)にリクルートされていた、と米各紙が報じている。

 それによると、FBIは、ペイジ氏がSVRの諜報員にエネルギービジネスに関する書類を渡したことを突き止めていた。このためFBIは2013年にペイジ氏を事情聴取したのだが、ペイジ氏が「諜報員だと知らなかった」と説明したことから、訴追は見送られていたという。この事実が今になって明らかになったのだ。ペイジ氏を篭絡しようとしたSVRとは、旧KGBの対外情報部門のことだ。全世界に諜報網を張り巡らしており、米国の最大拠点は、ワシントンDCの在米ロシア大使館と、ニューヨークのロシア国連代表部にある。ペイジ氏が接触していたSVR諜報員ビクトル・ポドブニーは、ロシア国連代表部に勤務し、ロシア外交官に偽装していた。公的身分に偽装する「オフィシャルカバー」という手法だ。たとえ諜報員でも、外交官の身分があれば、外交関係に関するウイーン条約に守られ、不逮捕特権がある。2015年、FBIはポドブニーら諜報員三人を摘発したが、ポドブニーら二人はこの外交特権を盾にして既に帰国した。

 ロシアの諜報員は米国内でどう活動しているのだろうか。SVRニューヨーク支局はマンハッタンのアッパーイースト67丁目のロシア国連代表部、ビルの八階にひそかに入居している。盗聴防止のために窓がなく、インターネットも繋がらないことから、ロシア外交官たちはこの階を「サブマリン(潜水艦)」と呼び立ち入ろうとしない。スパイたちの巣の全体像はロシア外交官たちすら知らないのだ。

 ペイジ氏は、2004年から3年間、米投資銀行メリルリンチの社員としてロシアで働いていた。このときロシア国営ガス企業ガスプロムのコンサルタント業務を担当、ロシアコネクションを広げた。SVRとの接点はこのときにできた可能性がある。ポドブニーとの接触はペイジ氏がニューヨークに投資会社を創業した後のことだ。

 問題はトランプ陣営とロシアは手を結んでいたのか、である。この疑惑についてFBIのコミー長官は先月20日の下院情報委員会で「捜査中である」と公式に認めた。しかも「トランプ選挙陣営に関わった人物とロシア政府の間にあったすべての出来事を捜査する」と述べた。コミー長官の念頭にはペイジ氏とSVRの接点もあったに違いない。

 シリアへの攻撃をきっかけに、トランプ大統領が、ロシアと決別するのではないかとの見方もある。しかし、ロシアンゲート疑惑の捜査は着々と真相に迫っている。

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更新日時:5月26日 8時2分

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