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男性20人に1人の「色覚異常」、知りたかった「見え方の違い」

 “色の感じ方”についての問題です。医学用語でいう「色覚異常」。男性の20人に1人ほどの割合であらわれます。ピーマンとパプリカなど、緑と赤などの色が見分けにくい特徴を持ちますが、見え方は人それぞれです。ほとんどの人が日常生活に支障はないということですが、やはり困ったことも起きています。

 色覚異常がある男の子が描いた絵。一見、普通に見えますが、よく見ると、たぬきや熊が緑色に塗られています。

 色覚異常は赤と緑、茶色と緑などの区別がつきにくく、人によっては、こうした赤と黒の表示も読みにくいなどの特徴がありますが、その程度や見え方は人それぞれ。遺伝によって、男性のおよそ20人に1人、女性の500人に1人の割合であらわれ、今の医学で治療することは出来ません。

 一橋大学4年の武智研吾さん(22)。赤と緑などが見分けにくい軽度の色覚異常です。

 「緑の中にちょっとだけ赤があるとかが、見分けがつきにくい。そんなに綺麗な紅葉って見た記憶がない」

Q.あれは綺麗な緑に見える?

 「緑ですね。分かりにくい赤だと、あの赤ですね。あれは分かりにくいですね。多分あれ(赤)とこれ(緑)と合体すると、あれってなっちゃいますね」(武智研吾さん)

 実は武智さんが初めて異常を知ったのは、わずか1年前のこと。きっかけは、鉄道会社の採用試験で行われた健康診断でした。

 「医師が『本当にそう見える?』と確認したことが何度もあった。あれ、自分は色覚異常なのかなって。(それまで)自分がそうだと思ったことがなかった」(武智研吾さん)

 幼い頃には「鉄道の運転士」という夢を持っていた武智さん。しかし、現在、安全性などの面から、鉄道の運転士やパイロット、警察官などの採用では、色覚による制限が設けられています。

 「運転士とか車掌とかの仕事ができるならいいなと思って受けたので、配属されなくなるのかと思ったときに、ちょっとさみしいなと」(武智研吾さん)

 鉄道会社の試験を辞退し、希望の不動産関係の会社に内定した武智さんですが、色覚について「もっと早く知りたかった」と話します。

 「(早めに)知っておけば良かったかな。就職活動中に、うろたえることはなかっただろうな。自分が色覚異常と分かってから振り返ると、黒板に書いてある赤いチョークの文字が読めなかった。見えないので(ノートに)書いていませんでした。席が隣の人に聞くとか、赤い所はなんて書いてあるのと。視力が悪いせいで見えていなかったとずっと思っていた」(武智研吾さん)

 色覚検査は2003年に、小学校で義務ではなくなりました。それは検査が差別を助長するなどとされたからです。

 「平成15年度(2003年度)から色覚検査は任意だが、実際にはほとんど行われていない」(東京女子医科大学 中村かおる 非常勤講師)

 男性の20人に1人。決してまれではない色覚異常。

 「私の見えている世界。どう見えているか難しいですね。ずっと生まれてからこれなんで。他の人にはどう見えているのかなと、これと違う世界はどう見えているのかな・・・。不便を感じたという経験が少ないので、人と人の少しの個性の違いかなと思う」(武智研吾さん)

Q.色覚異常の小学校での検査は、実は14年も前に義務ではなくなっているということなんですが、その背景には何があったんでしょうか?

記者)やはり差別の歴史というものがあり、クラス全員の前で検査をするといった配慮のないやり方や、理系大学への進学時に制限があるなどの歴史がありました。今も、検査自体を否定的にみる意見が数多くあることも事実です。

Q.一方で、VTRの武智さんは、早く知りたかったと話していたが・・・

記者)私自身は小さい頃に検査を受けているので、自分の色覚の特性というものをはっきりと分かっていたので、困ったときには周囲に聞くということができて、周囲も理解してくれるので、日常生活で困ったという経験はありません。

 検査は最近変わってきていて、武智さんのように就職のタイミングで初めて気がつくというケースが相次いだことから、文部科学省が3年前に保護者に対して任意の検査はできるので、それを積極的に周知するよう通知を出しました。その結果、徐々に検査は増えてきています。

 また、検査をする先生方への講習が最近、各地で開かれています。検査が差別を助長するということではなくて、一人一人が自分の見え方を正しく知って生活できるように、教育現場でも模索が続いていると思います。

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更新日時:12月16日 15時2分

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